ぼくの家は、パンやさん。
パパは週に一回、ともだちの分のおやつパンを焼いてくれる。
ぼくを入れて、ワニくん、ゾウくん、ネコくん、ヒツジちゃんの、5つ。
それをぼくがポッケに入れて、みんなに配る。
「やっぱり、ほかほかのパンはおいしいや!」
「いいなあ、カンガルー君、こんなおいしいパン毎日食べれて!」
まわりのみんながおいしいと言ってくれるのが、
喜んでくれるのが、ぼくはうれしくてたまらない。
ある日、となりのクラスのアリクイ君が、ぼくらがパンを食べ終わったあとにやってきて
「あ・・・もうなくなっちゃったかあ・・・。」
としょんぼりした。
僕はそれを見て、すごく残念な気持ちになった。
「ごめんねアリクイ君、また来週おいでよ。」
と言ってバイバイした。
今週から多めに焼いてもらうことになったので
今朝、6つのパンをポッケに入れようと思ったら、ひとつ、入らなかった。
僕のポッケは、まだ小さい。
パパやママぐらいあれば、もっと入るのだけれど・・・。
仕方ないのでひとつは、ハンカチにくるんで持っていった。
パンを配る時間になったけど、アリクイ君は来ない。
だから僕らはいつも通りパンを食べて、残りの1つをじゃんけんしようとしていた。
「ごめんねおそくなって!僕の分、ある?」
アリクイくんがギリギリのところで駆け込んできて、僕は内心ほっとした。
「はい!先週は足りなくて、ごめんね。どうぞ。」
僕はハンカチにくるんだパンを差し出す。
「あれ・・・あったかくない・・・。」
アリクイくんはまた、しょんぼり。
ああそうか、いつもパンがほやほやであったかいのは
僕のポッケに入れてるからだもんなあ・・・。
「ごめん、ポッケに入れようと思ったんだけど、5つしか入らなくて、えっと、、」
どうしよう、せっかく来てくれたのに、またアリクイ君をがっかりさせちゃった。
アリクイ君はパンを食べてるけど、なんかおいしくなさそう。
ど、どうしよう・・・。

「やい!アリクイ!」
いきなりワニ君がさけんだ。
「おまえ、こいつの気持ち考えてみろ!おまえの分ポッケに入らなかったからって、ハンカチにくるんでまで持ってきたんだぞ!ありがとうぐらい言えよなっ!」
アリクイ君は、ハッとした顔でぼくを見た。
ぼくは、涙が出そうで、小さい声で「ごめんね。」としか言えなかった。
そのあとアリクイ君は、一目散に走って、どこかに行ってしまった。
「なんだあ!あいつ。ひでえなあ。カンガルー、気にすんな。おれねこ舌だからさ、今度からハンカチの分食うよ。お前んとこのパン、冷たくてもすげーおいしいんだぜ!」
ねこ君がなぐさめてくれたけれども、僕はどうも、気が晴れないままみんなと別れた。
はあ・・・もうちょっとぼくのポッケが大きければなあ。
ポッケ以外に、パンが冷たくならない方法って無いかなあ。
そんなことを考えながら歩いていると、道の先に座っているアリクイ君が見えた。
ずんずんとこちらに近づいてくる。
「あ・・・その・・・。」
アリクイ君はしどろもどろな僕の手をいきなりつかんで、大きくて重たい枝を握らせた。
「それね、アリが集めた花の蜜がいーっぱい入った、僕のおやつ入れ。おいしいよ。あげる。」
「・・・なんで?いいの?ありがとう!」
「あと、パンのこと、ごめん。おれ、わがまますぎた。ごめんな。すごくおいしかったからさ、また食べたい。・・じゃあね!」
アリクイ君はそういうと、また走ってどこかへ行ってしまった。
家に帰ってそのことをパパとママに話すと、とっても嬉しそうな顔をして僕の頭をなでた。
次の週は、パパが、アリクイ君がくれた蜜をたっぷり使ったあまいパンを焼いてくれて、みんなで食べた。
ぼくはそのときのパンが、今まで食べたどのパンよりも
一番おいしい気がした。
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